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読書記録


ミステリーを中心とした読書記録※ネタバレ多数あり
by mysterylover
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※個人的な感想・評価(五つ星)です。
※ネタバレにつながる部分が多数あります。

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死者は黄泉が得る

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 「死後」と「生前」のパートが順番に描かれ、最後に二つの状況がクロスするという構成。
 死後パートでは、機械によって、死からよみがえり、記憶が白紙に戻ると同時に殺して仲間にしたメンバーもさも以前からともにいたような偽の記憶を植え付けられる、というプロセスを繰り返す六人の死者の様子が描かれる。ひっそりと暮らす彼女たちの前に生きた女性がやってくる。彼女を危険因子と判断した死者たちは、殺して機械によって仲間にしてしまおうとするが、機械がうまく作動せずパニック状態になる。そもそもこの機械を最初に使ったのは誰なのか、最初の一人がほかのメンバーを殺し(あるいは死体を運んできて機械にかけ)、仲間にしたはずではないか、と。その後に描かれる死後パートで六人のメンバーが一人ずつ減ってゆくこと、そのたびに訪れる女性がいなくなっているメンバーの名になっていることから「これは過去にさかのぼって話が進んでおり、最後には最初の一人が誰なのかわかる仕組みなのだな」と思ってしまうが、実はそうではない。物語は死後パートにおいても過去ではなく、未来に向かって描かれていたのだ。この時系列錯誤トリックにはいい意味でとても衝撃を受けた。
 生前パートでは、美貌の女性クリスティンとその友人ジュディ、マーカス、タッド、スタンリーが中心となって話が進んでゆく。クリスティンの弟であるフレッドが殺され、クリスティンとジュディも何者かによって襲われジュディは死亡。助けにきたマーカスとスタンリーも襲われ、スタンリーは病院でとどめを刺される。タッドも突然の死を遂げる。犯人は最初クリスティンとその夫に恨みをもつ男かと思われたが彼にはスタンリー殺しの完璧なアリバイがあった。次に怪しいとされたのはフレッドに好意をよせるも邪険にされていたミシェル。彼女はクリスティンを銃で脅し車で連れ去っていった―
 ここで死後パートと生前パートがクロスし、全ての謎が明かされる。まず、死後パートで死者たちの前に現れる女性はすべていっかんしてクリスティンだったのだ。最初の回であやうく殺されかけたクリスティンは死者たちの会話により死者を消滅させる方法を知り、一人ずつ消してゆくことにした。消した人間の名を名乗りまた訪問し、殺されたふりをしてまた一人また一人と消滅させていったのである。死者たちが機械にかけられるたびに記憶が白紙化されることを利用して。これにより時系列錯誤トリックができあがったわけである。最初の回で皆にいっせいに襲いかかられたクリスティンが殺されたふりを毎回することにためらいはなかったのか、本当に殺されてしまう可能性を考えなかったのかはやや疑問だが。
 そして、最後に残された死者「わたし」とクリスティンが対峙する。クリスティンによると「わたし」はミシェルであり、クリスティンは連れ去られた後反撃して殺したはずなのミシェルが生きているのを知り、再び復讐しにきたという。しかし、ここでミシェルにより事件の真相が解き明かされる。生前パートでの事件の首謀者はクリスティンであるというのだ。これもなかなか衝撃的であった。ただ、クリスティンが「わたし」に話して聞かせる形をとっているとはいえ、彼女の思考である時の文に明らかに彼女が犯人とは思えない部分がいくつか見られたのは気になるところである。また、フレッド殺しの際のアリバイを偽証してもらったジュディを殺したのが他の人物により襲われたのを利用して、というのはご都合主義すぎる気がする。ミシェルを殺そうとしたタッドが誤って事故死してしまったというのもまた然り。
 さらに、最後に明かされる真実、「わたし」はミシェルではなくジュディだった、というのはどうも釈然としない。クリスティンが「わたし」に自分のことをミシェルと思い込ませる理由がよく分からないし、最後の彼女の取り乱しようを考えるとそんな余裕などなかったようにも感じられる。「わたし」がジュディが好意を寄せていたマーカスの名前を聞いて反応を示していたこと、彼を仲間に引き入れようと思い立っていることから多少つながりがあるとはいえ、過剰などんでん返しという印象をぬぐえない。
 ただ、全体的な印象としてはとても面白い作品であった。やはりなんといっても時系列錯誤トリックが秀逸だろう。
★★★★(4)
 
by mysterylover | 2008-12-29 06:58 | 西澤保彦 | Comments(0)

人格転移の殺人

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 「人格交換システム」なるものが登場し、SF要素が色濃く出ているため最初は戸惑うが、システムについて丁寧に説明がなされているのですんなりと物語に入っていくことができた。
 地震から逃れるために人格交換システム内に入ってしまった六人の人格。肉体と人格が次々と入れ替わってゆく中で連続殺人がおこる。六人が人格交換システムの説明(一度この機会に入ってしまったら一生スライドサークルからは逃れらないこと、例え誰かが死んでだとしても残りのメンバーで人格はスライドされてゆくこと)をうけ、密室に隔離された時点では、「自分の肉体を取り戻すために他のメンバーを全員殺してしまえばいいと考える人物が殺人を犯してゆくのだな」と想像でき非常にはらはらどきどきした。しかし、連続殺人はおこるもののそれが犯人の襲撃という形で一気に描かれているためだいぶ興をそがれてしまった。犯人を推理する主人公たちの様子も淡々としすぎていてテンポに欠ける印象。一人ずつじっくりと殺されていき、疑心暗鬼に陥ってゆく残りのメンバーたちの様子を描くほうがより面白かったと思う。また、メンバーの国籍や言語体系がそれぞれ異なるのも気になる。もちろんそうすることで人格交換が起こってもそれぞれの人格が分かりやすくなるという利点は分かるのだが、せっかくこんな面白いシステムを殺人に絡ませるのならば同じ日本人なら日本人でまとめ、犯人がほかの人物の人格になりすます、という展開もいいのではないだろうか。
 犯人が地震以前に死んだと思われた綾子であったのは意外ではあったがあまり衝撃はなかった。綾子が地震に乗じて、初対面でありながら妬みの対象であったジャクリーンを殺してしまおうと考える点も誤って自分の肉体を殺してしまう点もややご都合主義な印象を受けた。他の登場人物がジャクリーンと綾子を見間違えたというのも無理があるように感じた。また、非常に高飛車な女性として描かれていたジャクリーンと主人公が結ばれるラストもやや唐突な印象。二人が子供を産むことで人格交換システムがストップするというのもあまりピンとこなかった。
 途中まで非常にスリリングな展開で面白く読めただけに惜しい!というのが素直な感想だ。
★★★(3.5)
by mysterylover | 2008-12-29 06:23 | 西澤保彦 | Comments(0)

放浪探偵と七つの殺人

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 放浪探偵、信濃譲二が関わった七つの殺人事件で構成された短編集。読者が十分考えた後で解答編を読んでほしい、という作者の意図から問題編と解答編が切り離されている。
 
・ドア⇔ドア
 完全犯罪証明書感想内で書いたので割愛。一つ付け加えるならば、「周到極まりない殺人者の犯したたった一つの過ちとは?」とあるが別に周到極まりないということはなかったし、過ちも決定的なものが一つなだけでそれ以外にもいろいろあるのだが・・・と思ってしまった。

・幽霊病棟
 廃墟となっている病棟の三階に死体を隠した殺人犯。財布を落としたことに気づき、現場へと戻ってくる。前回同様に表口から入ろうとしたのだが、信濃たちの話声が聞こえたため裏口から侵入。しかし、財布どころか死体までなくなっている。いったいどういうことかと悩んでいると一階にいる信濃たちが死体と財布を発見したようだ―
 斜面を切り拓いて建てたため、病棟の一階と二階の裏の方は地中に埋もれていた。そのため裏手の入口は表から見ると三階部分に作られている、というのが真相で、納得はいったのだがなんというかインパクトに欠けた。この構造を幽霊騒動にも絡めた点はなかなかうまい。
★★(2.5)

・烏勧請
 家にゴミを集め、その異臭のために周囲の人々から煙たがられていた女性の死体が発見された。聞き込みによるとその女性は夫の浮気のために精神がおかしくなってしまい、常にふとんをかぶり、ごみを集めていたという。殺人動機のある夫にはしっかりとしたアリバイがあり、警察は事件後欠勤しているという夫の愛人を疑うが、信濃譲二は彼女が潔白であることは間違いがないと断言する。
 事件の真相は死んだのは頭のおかしくなった妻ではなく、夫の愛人だったというから驚きだ。夫は妻を殺してしまい、その事実・死体の腐臭を隠すために愛人と二人でごみをせっせと集めていた。そして愛人は頭のおかしくなった妻を演じることによって、ゴミ集めの理由を作るとともに死体の腐敗が進んで骨になったころ、精神病院に入るという名目のもとに妻の存在を世間から消してしまうつもりだったのだ。なんとも鮮やかなどんでん返しである。愛人が死んだのはカラスがくわえていた鋭利な何かが偶然おちてきたのではないか、という偶然性の高いものであったが「本題」が見事にきまっているため気になることはないだろう。
★★★★(4)

・有罪としての不在
 寮生の一人が殺され、犯人探しが始まる。各々のアリバイを検証し、犯人による犯行時刻の偽装工作を検証した結果、導き出された答えは犯人=食堂のおばちゃんというものだった。腕時計が内側を向いていたことから犯人=女性とし、腕時計の偽装工作によりアリバイを得たのはだれかということを突き詰めると彼女が犯人というわけだ。ただ、ここで疑問が生じる。この物語の冒頭では犯人が自分のことを「俺」と言っており、食堂のおばちゃんとは思えない点がいくつもあるのだ。その答えとして用意されているのが、実は食堂のおばちゃんが寮生を殺した日に同じように別の寮生が女性を殺していたという事実である。作者は被害者Xと犯人Yをあててみよと読者に挑戦しているのだが、被害者も犯人も実は二人ずついたというわけだ。なかなか面白い趣向だとは思うが、犯人を絞っていく過程が淡々としすぎていていまいち印象に残らない話だった。
★★★(3)

・水難の夜
 雨の中ピザを届けにきた篠崎は女性が死んでいるのを目撃する。その後警察が到着し、死んでいる女性と負傷している男性を発見。女性が刺されたナイフに負傷していた男性の指紋がついていたことから、犯人はその男で自らも負傷してみせることで病院に搬送されるよう仕向け、隙をみて逃げだすつもりだと警察は考える。しかし、真相はその負傷している男はピザの宅配人(篠崎)であり、事情聴取されていた男こそ犯人だったのである。犯行後、篠崎がきてしまったために犯人は彼を殴り、返り血のついてしまった衣服を交換し、指紋の偽装工作も行った。そうして逃げだすつもりが思いがけず早くに警察がやってきてしまったため篠崎のふりをし続けていたというわけだ。雨でぬれている篠崎の靴と乾いている自分の靴を交換することまで気が回らなかったために、信濃によってその犯行を暴かれてしまう。割とよくある犯人の入れ替えトリックであっさりと読めた。犯人が地の文でも「篠崎」と表記されていることに一瞬疑問を覚えたが、この文章が元警察官による独白であり、「現場での捜査場面は、私の実体験そのままを再現するように努力した」と明記されていることで納得した。
★★★(3)

・W=mgh
 死んでいたはずの女性が窓の外を腕を折り曲げた不思議な格好でさあっと通り過ぎてゆくのを目撃した千春は信濃と共に事件の真相を暴こうとする。そしてその真相とはキャスター付きの椅子に座らせられた死体が椅子ごと下り坂を転がっていったという突飛なものだった。ただ、その現象については物理を用いて丁寧に説明されているので妙に説得力がある。この話でうまいと思うのは、冒頭の場面で金になるゴミを探すことを日課としている男に、死体を発見する前にその椅子を発見させているところだ。後で考えるとなるほどと思わせる巧妙な伏線である。
★★★(3.5)

・亜闍梨天空死譚
 使徒降臨のトリック=一見不可能に思われる殺人となっているのだが、いかんせんトリックが一度聞いてピンとくるようなものではないため印象に残らなかった。「名探偵コナン」などで使われていそうなトリックだな、というのが率直な感想だ。ただ、珍しく信濃譲二の良識が垣間見えるように思われる部分もあり、なかなか興味深かった。
★★(2.5)
by mysterylover | 2008-12-26 10:01 | 歌野晶午 | Comments(0)

世界の終わり、あるいは始まり

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 自分の息子が連続誘拐殺人事件の犯人なのではないか、と疑惑をもった主人公があれこれと想像をめぐらせる話。その想像一つ一つがどれもよくもここまで、と思うほどリアリティにとんでおり夢中でページをめくらされる。「今度こそこれが真実か!」と思っても結局主人公の想像の一つにすぎず、結局最後まで真実は明示されない。このやりかたは賛否両論ありそうだがこれはこれでありかな、というのが実直な感想だ。私は普段結末明示型の小説のほうがずっと好ましいと思っているが、この小説に至ってはそうとばかりもいえないと思ったからだ。主人公の想像の一つ一つがどれも面白く読めるし、逆にそれだけ多種の想像を繰り広げられた後では、どんな結末であってもそれほど納得のいくものになるとは思えないからだ。(もし数々の想像を超える納得のいく結末が用意されていたならばそれがベストだとも思ったが)とにかく読んでいる間中はらはらさせられる面白い作品であった。
★★★★(4)
by mysterylover | 2008-12-26 08:47 | 歌野晶午 | Comments(0)

ガリレオの苦悩

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 「ガリレオ先生」による謎解き短編集第3弾。
・落下る(おちる)
 トリックそのものは印象が薄かったが、実はそのトリックは実行不可能で実際は男に殴られた被害者が意識を取り戻した後自殺したのだった、というおちが面白かった。それをさらりと受け入れる湯川の姿も印象的。
★★★(3)

・操縦る(あやつる)
 こちらもトリック自体は科学的すぎて「そんなことができるのか」くらいの感想しかなかった。犯人である湯川の恩師と湯川のやりとりを通じて湯川の「意外な一面」を描き出そうとした、という印象を受けた。
★★(2.5)

・密室る(とじる)
 自分の妻と義弟が殺人を犯したのでは、と疑った藤村は湯川に相談をもちかける。しかし、二人が犯人であることを気づかせないために偽証したり、湯川にやはりもう調査はいいなどといいだす一貫性の無さはやや強引な気がした。藤村が偽証していたというのはアンフェアにも思われるし、それならば最初から湯川に相談したりしなければよい。最後にいきなり二人に自首を勧める、などと言い出すのも唐突すぎる。実は藤村こそが犯人で湯川を利用して二人に罪をなすりつけようとしていた、等のどんでん返しがあれば納得できたのだが・・・
★★(2)

・指標す(しめす)
 ダウジングを科学的に解明する-という展開はかなり引き込まれたが、実際はダウジングにより死体を発見したかに思われた少女はもともとそのことを知っていた、という真相で少し拍子抜けした。しかし、彼女の振り子を動かしているのは彼女自身の良心だ、迷いを振り切り決断する手段として使っているにすぎない、という湯川の言葉によるラストは好印象であった。
★★★(3.5)

・撹乱す(みだす)
 湯川に対する挑戦状が届き、予告どおりにどんどんと人が殺されていく、という展開が面白かった。湯川が犯人を挑発することで自らを囮にして犯人逮捕に至ったというエンディングもよい。
★★★★(4)
 
by mysterylover | 2008-12-17 21:38 | 東野圭吾 | Comments(0)

聖女の救済

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 一年も前から浄水器に毒を仕込み、誰もタンクに近づかせないようにする―殺したい相手にいかに毒を飲ませるのかではなく、飲ませないかに力を注いだ犯人。その逆転の発想はなかなかどうして面白かったがこの事件を解くのが湯川であった必要はあるのだろうか?と感じてしまった。科学的なトリックというよりも心理的トリックの要因が大きく、これはほかの探偵役のほうが向いていたように思われたからだ。また、今回の事件で決定的な証拠となった「犯人が使っていた空き缶」が犯人に恋をしてしまった草薙刑事の手元に残されていたという展開もややご都合主義な気がする。草薙の恋が犯人逮捕の決定打となるわけだが、彼が犯人に惹かれてゆく経緯がほとんど描かれていないためどうしても作品の都合上の恋、という印象を受けてしまう。そもそもとても几帳面な犯人が如雨露ではなく空き缶で花に水をやっていたというのが不自然であるし、いくら恋心をよせる女性が使っていたものだからとはいえ空き缶を洗いもせず部屋においておくというのはどうだろうか。というか警察なのにそのストーカーまがいの行為はどうなのだろうか・・・
 そういった違和感を感じる点は多かったものの、トリック自体が(実現可能かどうかはさておき)非常に印象的で興味深かった。
★★★(3.5)
by mysterylover | 2008-12-17 10:18 | 東野圭吾 | Comments(2)

11枚のとらんぷ

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作中作の形をとっているのだが、その作品の中で紹介される奇術がまず面白い。一見不可能に思われる日常の中で披露される奇術も最後にはきちんと種明かしがされていて、普段は決して覗くことのできない奇術の舞台裏を見ることができた、という満足感がある。
 しかし、この作品の真の実力はそんなものではない。その奇術を行っていたメンバーの一人が殺され犯人もメンバーの中にいるという。そして殺された女性が残したと思われる「ガス栓を開く」というダイイングメッセージから、犯人は無嗅覚性の人間であると推理された。そこでキーとなってくるのが先ほどの作中作なのである。その作品のなかで登場人物(容疑者)たちはそれぞれ何かしら「におい」に関連することを口にしている。これが実に巧妙にはりめぐらされているため、多少の違和感はもったもののまさかそのような伏線だったとは夢にも思わなかった。そして犯人が分かるのだが待ち受けるはさらなるどんでん返しだ。犯人は確かに彼女を殺したが、それは彼女が先に自分を殺そうとしたからだという。彼が無嗅覚性なのをいいことに、彼女はガスで充満した部屋に彼を呼び出し殺害を図っていたのだ。最後のこのどんでん返しも心地よい驚きだった。
 ミステリー本としても奇術本としても楽しめる構成になっており、作者ならではの手腕をいかんなく発揮しているように感じる良作であった。
★★★★(4)
by mysterylover | 2008-12-17 09:51 | その他著者 | Comments(0)

Jの神話

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 女子学生の集まり、大人しく内気な主人公、カリスマ性をもつ美しい女生徒、主人公にせまる同性愛の誘い・・・最初は学園ものによくありがちな設定だな、という印象の話だった。しかし。その学園のカリスマだった女生徒が不審な死を遂げ、実は彼女の姉もまた同様の死を迎えていたこと、学園で自殺したクリスチャンの女生徒がいたことなどが明らかになるにつれ物語は盛り上がってくる。と、そこまではよかったのだが染色体がどうのこうのという専門的なくだりはどうにも受け付けにくく、話がSFの方向に向かっていってしまってからはどうにも興味が冷めてしまった。女生徒達が「ジャック」と呼んでひた隠しにしていたものが、実は犯人である同性愛者の医者が生み出してしまった、自ら意志を持ち女性の体に住み着く男性器であった、その物体が他の女性に移動するときに死んでしまったのが前述の二人の不審死の真相であった、などという結末は到底受け入れられるものではなかったし、気持ちが悪かった。女探偵として登場する人物も無計画に動き回った結果、犯人にいいようにされてしまっている無能さには驚かされるし(普通はいざというときの方法や助っ人を用意しておくものだと思うのだが・・・)、無駄に描写の細かい格闘シーンはあっけにとられるだけだったし、主人公と共に性欲に負けてしまうラストも気持ちが悪い・・・ミステリーだと期待して読んでしまったのが間違いであった。
★(1)
by mysterylover | 2008-12-02 11:12 | 乾くるみ | Comments(0)

ある閉ざされた雪の山荘で

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 雪の山荘に集められたオーディションに合格した男女七名が一人、また一人と消えてゆく。演出家からの手紙により、それは用意されたシナリオかのように思われたが血のついたナイフが発見されたことからこれは実際の殺人事件なのではないかとの疑惑が浮上する。スタンダードながらやはりこの手の流れはとてもスリリングに面白く読める。主人公以外の全員が実は演技している、主人公の内面描写があるが実はそれは別人などの推理をしてみたが見事に間違っていた。主人公と一緒にいることでアリバイを確保した男が、頑なにそのアリバイを皆に隠しておこうと提案することからなんとなく怪しいな、と感じたのがあたっていたくらいだ。
 事件の真相はやはりその男が犯人なのだが、殺人などは行われておらず、彼と被害者と思われた三名による「芝居」だったのだ。そしてその芝居はその三人に復讐をしたいと思っていた女性、山荘にこっそりと隠れ、のぞき穴から皆の様子を窺っていた女性に見せるためのものだった。この結末はなんというかやや拍子抜けだったが、評価すべき点もいくつかあるとは思う。まずなんといっても「神の視点」で描かれていたように見える「客観的事実」が実はその隠れていた女性の視点によって描かれていたという点だ。これは画期的な仕掛けといっていいだろう。また、登場人物たちが外部と連絡をとらない(とれない)理由が「携帯電話が通じない」「電話線が切断されている!」「唯一の橋が切り落とされた!」などというありきたりな(やや無理のある)ものではなく、「外部と連絡を取ったら即刻オーディションの合格を取り消す」という文言による心理的要因であるというのも面白い。
 ただ、主人公という人物の定まらなさにはどうにも釈然としないものがある。一見大人しく冷静そうな人物を装っておきながらも、実は心のうちで他のメンバーを馬鹿にしたり、好意を寄せる女性の心は自分のものになると決めつけたり、相当な高飛車な人物であるというまではまだ許せるが(それでもそのストーカーのような思考にぞっとしたが)、そんな彼が冷静に探偵役をこなすのは果たしてどうか。彼の内面を描くことで犯人のアリバイを確保したり、好意を寄せる女性を取り巻く人間関係を浮き彫りにする、という必然性からそういったやや脈絡のない人物像になってしまったのだとは思うが、もう少しどうにかできなかったのだろうか。あんなにも執着していた女性のことも最後のほうではまったく言及されないままであるし、なにより極めつけは犯人たちの動機、三人との和解を目の当たりにして主人公が泣いてしまうというラストはどうにも解せない。思わず鳥肌がたちそうなほどの胡散臭さだ。どう考えてもそれまでの主人公のキャラクターからそういったことは想像できないし、無理やりおきれい話に仕立て上げられた印象が強すぎる。このラストのために★一つくらい評価を落としたといっても過言ではないだろう。
★★★(3)
by mysterylover | 2008-12-02 10:57 | 東野圭吾 | Comments(0)

トキオ

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 息子の死を前にして語られる真実。主人公は結婚前にタイムスリップした?息子に会っていた。そして二人は大冒険をしてろくでなしだった主人公が少しずつ人間として成長していくというどこかで読んだことのあるような話。タイムスリップしたと思われる息子によって主人公もその妻も命を救われており、それは歴史を変えることになるわけだがでも二人が生きていないと息子は生まれないわけで・・・などのパラドックスに陥る。まあそんなに深く考えても仕方ないことではあるが。ミステリー要素もどんでん返しもなく拍子抜けしてしまった。
★★(2)
by mysterylover | 2008-12-02 10:28 | 東野圭吾 | Comments(0)


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