読書記録


ミステリーを中心とした読書記録※ネタバレ多数あり
by mysterylover
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※個人的な感想・評価(五つ星)です。
※ネタバレにつながる部分が多数あります。

カテゴリ:七河迦南( 3 )

空耳の森

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・「冷たいホットライン」★★★★(4)
 男女のやりとりから男が山小屋に残された彼女を救出しに行こうとしているのかと思いきや登山口に引き返していたというどんでん返し。「わたしのことはもういいから。あなただけでも助かって。」という女の呼びかけに対し男が「しかしそんな言葉で自分の気持ちが変わるはずがあるだろうか?」と自問自答しているシーンのダブルミーニングがうまい。

・「アイランド」★★★★(4)
 明らかに姉の言動が不審なことからそこが孤島ではないことは薄々分かっていたものの真相には驚かされた。

・「It's only love」★★★(3)
 いまいち人物の関係性がよく分からず突然の告白にわけが分からなくなった。が、最後までこの小説を読んだ上で2人の関係性を踏まえて考えるとそれなりに納得できるものはある。

・「悲しみの子」★★★(3)
 光が女の子ではないかという疑念は当初から浮かんでいたもののクリスティンと同一人物だとは思わなかった。しかし両親の強引さがあってこその叙述トリックなのであまりすっきりとはしなかった。

・「さよならシンデレラ」★★★★(4)
 「桜の舞女学院」が普通の学校ではなくいやらしいお店だったという真相に驚いた。「校長」という言葉やまるで先生とも思われる男とのやりとりがうまいミスリードになっている。

・「桜前線」★★★(3)
 突然のBL展開に唖然。それならそうともうちょっとわかりやすい伏線がほしかった。メールのすれ違いもやや強引な印象。

・「晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない)」★★★(3.5)
 謎の行き先が山だったことや暦のすれ違いは正直あまりピンとこなかったが問題の男女が冷たいホットラインの女性と警察だったというのは面白かった。

・「発音されない文字」★★★(3)
 倒錯的でなんとも分かりにくい。歪んだ母親の愛情にぞっとする。

・「空耳の森」★★★★(4)
 「とわこ、いつかはいくね」が「ほんとはこいつ可愛くね」の空耳だったという真相が面白かった。

それぞれの短編が実はつながっており、かつ前2作品との関連もしっかりつけられているところがまた見事。
総評★★★★(4)
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by mysterylover | 2013-08-10 16:01 | 七河迦南 | Comments(0)

アルバトロスは羽ばたかない

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 短編の4つのエピソードと転落事故の真相を「わたし」が解き明かそうとする現実パートとが順番に構成されている。
 まずは短編のエピソードについて。「ハナミズキの咲く頃」は物事は見方によって絶望的にも希望的にもなるということを教えてくれる。「夏の少年たち」は前作とかぶったネタである上協力者がかなり多数にわたっており、子供たちの演技力が皆高いというのにちょっと不満が残った。「シルバー」は寄せ書きの言葉に多少違和感は覚えたもののその真意に気づいたときは戦慄。ネットなどではよくあるネタだが小説で出てくると新鮮。CD-ROMを逆さにすると読み込めるというのもシンプルで好感。「それは光より速く」は望の父親と思われた人物が実は新職員の父親であり、事件に巻き込まれたかに見えた配達員こそが望の父親であったという真相に見事にやられた。
 この短編だけでもなかなか楽しめたがこの小説の真骨頂はここからである。現実パートの「わたし」は短編の「わたし」と同じ春菜であるというのが当然のことだと思い込まされていたのだが実は違うのだ。前作を読んでいると「わたし」=春菜の思い込みはより強烈なものとなる。この仕掛けには本当に恐れ入った。そして被害者だと思われた少女こそ犯人であり、探偵役と思われた春菜こそ被害者というこの見事で鮮やかな反転。さらに「わたしは、あなたのりょうじゃないのに」から想像された言葉とその真意のギャップもシンプルでずばりと決まっている。眼鏡と高村くんのミスリード(これにはまんまとひっかかってしまった)がややあざとい気もしたがミスリードの理由を後から丁寧に語られており納得。
 連作物の主人公を意識不明にしてしまう大胆さも加え、久しぶりに心底面白いと思える小説に出会えた。新本格にもまだまだ可能性はあると思わせてくれた傑作。これだから読書はやめられない。
★★★★(4.5)
追記:2017年9月再読。内容をほとんど忘れている自分に愕然とする(汗)2度楽しめてよかったとも言えるが…「わたしは、あなたのりょうじゃないのに」の台詞は瞭が犯人に対して自分はお前の所有物ではないといった意味で言ったのかと思わせておいて、その実、瞭(被害者ではなく加害者)が春菜(被害者)に「わたしは、あなたの寮じゃないのに」(あなたの管轄範囲外なのに)という意味で言っていたという鮮やかな反転はやはり見事としか言いようがない。瞭が事件現場にいたことは明らかなのに、彼女を犯人だと思いたくがないために「わたし」(春菜と見せかけて佳音)が瞭に話を聞かないことで瞭が被害者なのだと思わせるミスリードも説得力があった。
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by mysterylover | 2012-05-01 15:28 | 七河迦南 | Comments(0)

七つの海を照らす星

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・「今は亡き星の光も」★★★(3.5)
 不良にみえた少女が実は病気を隠し、自分を強く見せかけていたというどんでん返し。

・「滅びの指輪」★★★★(4)
 万引きで捕まり自分の名を金持ちの娘、美寿々と偽った少女優姫。彼女は立派に更正したように見えたが謎の大金を持っている。何か悪いことをしているのか―その真相は父親の性的虐待から逃れたかった美寿々と何も手に入れられない自分の立場を変えたいと願っていた優姫が美寿々の父親を脅し入れ替わったというもの。このどんでん返しにはかなり衝撃を受けた。美寿々に成り代わった優姫と父親が仲良く歩いていくというラストも印象的。

・「血文字の短冊」★★★(3)
 登場人物が実は外人だったことによる勘違いが謎の仕掛けとなっているのだがあまりピンとこずインパクトに欠けた。

・「夏期転住」★★★(3.5)
 黄色の旗を洋服に見せかけ他の学園の男の子の中に紛れて身を隠した直の正体が実は男だった(だからこそそのトリックが成り得た)というのはなかなか面白かった。後の編で実は直は女の子だったことが分かるのだが・・・

・「裏庭」★★(2.5)
 時系列トリックにあっさり気づいてしまい物足りない印象だった。

・「暗闇の天使」★★★★(4)
 謎の声の正体が男の姿をしているが中身は女性である警備員さんのものというどんでん返しが衝撃的だった。美少女と警備員さんのやりとりはご都合主義な気もしたが次の編で明かされる真実で納得。

・「七つの海を照らす星」★★★(3.5)
 「夏期転住」の直を含め今までの話で登場していた謎の女の子の正体が主人公の友達であり、時に探偵役をつとめていた佳音だったいうどんでん返し。個人的には海王さん=佳音のような衝撃を期待していたのでちょっと肩透かし感もあった。彼女の名前も回文であるということで夏期転住でやたら回文を押していたのはこれがやりたかったのね、という印象。それよりもここで明かされた「暗闇の天使」の美少女(佳音)と警備員のやりとりが納得のいくものでよかった。

全体的に好みの物語とは違ったがところどころでやられる部分もありそこそこ楽しめた。
 
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by mysterylover | 2012-01-19 15:35 | 七河迦南 | Comments(0)


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