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読書記録


ミステリーを中心とした読書記録※ネタバレ多数あり
by mysterylover
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メモ帳
※個人的な感想・評価(五つ星)です。
※ネタバレにつながる部分が多数あります。

流星の絆

流星の絆_b0141535_10282167.jpg
 
 子供の頃に両親を殺された3人の子供たちの成長後のストーリー。詐欺によって金を得ていた3人はひょんなことから親殺しの犯人と思われる人物にでくわし復讐を誓う。しかしその犯人は末子、静奈が好きになってしまった男の父親だった、という展開。子供時代の事件から現在に時が流れてゆく点、刑事がその子供たちを気にかけ追いかけている点、「絆」によって登場人物たちがつながれている点などは「白夜行」を想起させるものがあった。
 「白夜行」との主な相違点は犯人の意外性と物語の終わり方だろう。まず犯人について。この物語は「白夜行」と違いそれぞれの登場人物の心情がダイレクトに描かれている。そのためにその心情を描かれていない戸神政行=犯人と思いこんでしまうし、状況的にも彼の反応的にもそれは疑いようのない真実に思われる。しかしまさかのどんでん返しが用意されている。政行は両親が殺された後レシピを受け取りに店に行き、その惨状を目撃したもののレシピをもってあわてて逃げた、というだけだったのだ。ここでうまいと思うのは政行が父親にしか作りえなかったはずの「ハヤシライス」の味を再現しており、そのことから3人の彼への疑念がつのってゆくという展開になっていることだ。まさか父親が金と引き替えにレシピを売るなどとは夢にも思わなかった3人からしたらそのレシピをもっている男=犯人と思うのは無理からぬことだ。読者も同様である。そしてさらに意外なのは真犯人は3人のことを案じ、事件のことを必死に追いかけていたかに見えた柏原刑事だったことだ。あまりにも唐突な展開に虚を突かれた思いだったが犯人が置き忘れた傘を重視しなかったり、後輩刑事の心情は語られているものの柏原自身の心情はその刑事の目を通してしか語られていなかったり、と伏線はあった。動機も死んだという息子の手術代を得るためだったという筋の通るものであり納得のできないものではない。(騙された!というすがすがしさはあまり感じられなかったが)
 ただそれだけに個人的に残念なのはラストの展開だ。突然次男が改心し、長男と共に自首することにする点といい、静奈に騙されていたことを知った上でなお行成が静奈への思いを貫く点などやや綺麗にまとまりすぎてしまっている印象を受ける。もちろんラストに救いがあるという展開が悪いなどというつもりはないが、いくらなんでも展開が急すぎてついていけない気がした。そういった意味で「白夜行」の余韻を残す切ないラストのほうがずっと胸をうったし印象に残っている。
 もう一点、気になるのは帯の「最大の誤算は、妹の恋心だった」という言葉だ。読み終えて思ったのは静奈の恋心など最大のどころか別に誤算でもないのでは?ということだった。静奈が恋心のために作戦の実行を阻止した、とかならばともかくそうではないし、行成に作戦がばれてしまったことは意外ではあったがそれも恋心のための失敗とは言い難い。そもそも行成にばれたものの彼は結果的に作戦に協力したのだ。妹が恋心のために兄弟を裏切り、そのことに気づいた兄弟は静奈のために自分たちの命を捨てることで事件をうむやむにし、妹の幸せを守ろうとする―(ちょっと期待していた)このような展開だったならば帯の言葉も生きてくるとは思うのだが・・・
★★★(3.5)
by mysterylover | 2008-10-21 10:25 | 東野圭吾
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