「不思議の国のアリス」になにかしら絡みをもたせた短編集。ちょっと頼りない探偵としっかりものの助手のコンビがなかなか面白い。
日常生活で起こるちょっとした事件(命を狙われていると思ったら母親を心配した子供が仕組んだことだった、赤ん坊が密室から誘拐されたと思ったら夫婦の狂言だった等)が多く、どこかほのぼのと読めてしまう。助手である安梨沙の心情にスポットがあてられている話もありさすがにそれはミステリーとしては物足りなかった。
アルファベット順に猫が殺されているとネットの掲示板に書き込みが続き11匹の猫を飼う女性が震え上がるが実際は事件そのものが女性の知人によるでっちあげだったというどんでん返しの「猫の家のアリス」が1番気にいった。
息子にガールフレンドをストーカーから守ってほしいと言われ探偵がガールフレンドとストーカーを誤って扱ってしまう、しかし実際はそれであっていたという展開が二転する「鏡の家のアリス」もなかなかよかったがミスリードがあからさますぎて「これで終わりなわけはないよな」という印象を強烈に受けていたため特に驚きはなかった。
★★★(3.5)