・第一章 密室宣言
密室を毛嫌いする探偵と密室だからそれがどうしたという脇役の台詞が軽快。
・第二章 意外な犯人
被害者の別人格が犯人というバカミス。読者が怒ってごみを投げつけてきたというラストが皮肉的。
・第三章 屋敷を孤立させる理由
屋敷の離れが巨大なケーブルカーとなっていて移動するという大胆なトリック。これは普通に面白いと思った。
・第四章 最後の一言
ダイイングメッセージが「イシャヨベ」だったという真相。妙な説得力がある。
・第五章 アリバイ宣言
時刻表を使ったアリバイはつまらない、考える気にならないというのには同意。
・第六章 『花のOL湯けむり温泉殺人事件』論
ミステリーがテレビの視聴率のためにこんな風になってしまうという風刺。
・第七章 切断の理由
SM趣味を隠すために亀甲縛りに沿って死体を切断したという推理も面白かったし、郵便局につとめている犯人が毎日切手を扱っているのでミシン目になっているロープの跡を見たら切らずにはいられなかったという真相もよかった。
・第八章 トリックの正体
女装して一人二役をした男性など見てすぐわかるという皮肉。これは男性のルックスにもよるのではないかと思った。
・第九章 殺すなら今
子守唄に沿って2人の人間が交互に便乗殺人をしていたという真相。最後に村中の人間がそれに便乗して殺人をしまくるという痛快なオチ。まさに「殺すなら今」ということだろう。
・第十章 アンフェアの見本
今までのシリーズものに登場していた警察とは別の人間を警部として登場させ、犯人にすることで見事に読者を騙してくれる。アンフェアだとは思わなかった。
・第十一章 禁句
死体の切断の理由が被害者が太ってしまったため、死体が浮かばなかったから人間の身体で1番思い頭を切ったという真相。
・第十二章 凶器の話
血を凍らせて凶器にしたという真相。(実際は違うのだが。)
・エピローグ
ついにシリーズものの警部が犯人になってしまう。
・最後の選択
シリーズものの名探偵が犯人になるべきか否かという問いかけで終わり。
全体的にコミカルで楽しく読めたし、中にはおっと思うようなテクニックも生かされている。ミステリー好きなら必読の一冊だろう。
★★★★(4.5)