身体中に人の顔の形をしたコブが発症する病気『人瘤病(じんりゅうびょう)』が蔓延した日本という設定でグロイ描写が続いていく。途中でそのグロさに少し嫌気がさしたりもしたが、読んだ感想としては評価されるだけのことはある優れた作品であった。その病気の設定がやたらこと細かに説明されているのだが終盤で畳みかけてくるどんでん返しはその設定があったからこそ成り立っているものばかり。その点で言えば「僕のアバター斬ったのか」に通じるところがあるだろう。今まで主人公だと思っていたのが実は…というのにはまさにやられた!2つの視点が切り替わるのでそこに何か仕掛けがあるのだろうとは思っていたが、それぞれ別人だと思っていた人物が実は同一人物だったというのも秀逸。これは「十角館の殺人」にも通じるところ。途中推理が二転三転するところなどはややだれた印象もあったが、終盤の畳みかけが素晴らしい。とことん救いようのないラストシーンもよかった。
★★★★(4)