
「自分が、そして被害者が人間であることを証明するため」、という殺人&被害者の偽装の動機がなんとも衝撃。しかしそれを納得させる舞台背景の描写がしっかりと書かれていて納得させられるだけの筆力だ。また、ハヌルという少年を主人公が内心だけでは「空」と読んでいるのだが後から読み返してみると見事にその部分の文脈がうまい具合に2つに捉えることができて鳥肌。いっそそのトリックを使って犯人の存在を隠蔽したほうが印象が大きかったのでは?とも思ったがこれくらいにとどめておいたからこそスマートに、かつこの物語独特の世界観に溶け込ませることに成功したのかもしれない。話自体も面白く、きれいすぎない、でも救いを感じさせるラストもよかった。
★★★★(4)