・「花緋文字」★★★(3.5)
「信頼できない語り手」手法。大切な妹の自殺の原因となった男を復讐のために殺した、という美談に見せかけて実際はその男の優れた研究論文を自分のものとするためであり、妹の死も美談を作り出すために自らの手を汚したというもの。
・「夕萩心中」★★★★(4)
虚偽の日記形式。道ならぬ恋を成就させるために男女が心中したという美談にみせかけてその裏では暗殺計画があり、女の夫さえもその計画に加担していたというもの。少年が出会った男女が心中しにいく2人ではなく、暗殺をしている男のアリバイを作り出すためにそのふりをしていた女と夫であったというのも衝撃。その後少年が出会った2人を追っていたと思われた男は実は帰り道が分からなくなってしまったので少年をつけていた夫(つまり先ほど出会ったのと同人物)というの事実誤認のうまいミスリードになっている。