10ヵ月前の自分に戻り、人生をやり直せる―そんな誘いを受けた主人公たちは周囲の人間にはそのことを隠し「リピーター」となった。馬券で儲ける、受験をやり直す、日常のトラブルを事前に察知して回避する―そんなリピーターの特権を生かしていく登場人物たち。しかし、突然起こるリピーターたちの連続死。これは一体―!?設定も展開も面白く、久しぶりに小説の世界に没頭する幸せを感じることができた。リピーターを誘った風間がメンバーに何らかの恨みを抱いており、殺すためにリピートに誘ったのではないか?と推理したのだが真相はまったく違うものだった。選ばれたメンバーはかつて風間たちによって本来の運命である死から命を救われたものだったのだ。この世界が反転するような逆ミッシングリンクを知ったときにはたまらない衝撃を受けた。リピートしていれば不老不死、みたいなことを言っていたが実際にはリピートした世界で死んでしまったら意味がないのだし、リピートに飽きてしまったと言いつつ繰り返す風間たちの心理はよく分からなかった。だったら競馬とかで一生遊べるお金を儲けてその後の人生に進んだほうがいいじゃん、と。あと最後池田は自分で飛行機の運転ができるなら1人でリピートしてしまえばよかったわけで、あえてリスクを冒してまで天童たちと一緒に行く必要はなかったのでは?と。まぁそんな疑問は残ったがとにかく面白い作品で夢中になって読んでしまった。
★★★★(4.5)