その建物の中に入ると突然人が消滅する―伝承めいた話でその世界観がうまく作りこまれている。「一人で入ると無事出てこられる」、「一定以上の重量になると消滅してしまう」、「建物は取り込んだ人間の骨でできている」といった満の推理は面白く、建物の秘密を探っていたメンバーが一人ずつ減っていくのもスリリングだった。結果としては全てメンバーの一人を騙すために仕組まれていた、人は人為的に消されていただけで建物の中に入ると消滅するというのは嘘、というなんとも現実的な答えが用意されているわけだが最後の最後でちょっとほんとに消滅した人もいたのか?と思わせる謎めいた部分も残している。登場人物も魅力的で一気に読み上げることができた。
★★★★(4)