「ガリレオ先生」による謎解き短編集第3弾。
・落下る(おちる)
トリックそのものは印象が薄かったが、実はそのトリックは実行不可能で実際は男に殴られた被害者が意識を取り戻した後自殺したのだった、というおちが面白かった。それをさらりと受け入れる湯川の姿も印象的。
★★★(3)
・操縦る(あやつる)
こちらもトリック自体は科学的すぎて「そんなことができるのか」くらいの感想しかなかった。犯人である湯川の恩師と湯川のやりとりを通じて湯川の「意外な一面」を描き出そうとした、という印象を受けた。
★★(2.5)
・密室る(とじる)
自分の妻と義弟が殺人を犯したのでは、と疑った藤村は湯川に相談をもちかける。しかし、二人が犯人であることを気づかせないために偽証したり、湯川にやはりもう調査はいいなどといいだす一貫性の無さはやや強引な気がした。藤村が偽証していたというのはアンフェアにも思われるし、それならば最初から湯川に相談したりしなければよい。最後にいきなり二人に自首を勧める、などと言い出すのも唐突すぎる。実は藤村こそが犯人で湯川を利用して二人に罪をなすりつけようとしていた、等のどんでん返しがあれば納得できたのだが・・・
★★(2)
・指標す(しめす)
ダウジングを科学的に解明する-という展開はかなり引き込まれたが、実際はダウジングにより死体を発見したかに思われた少女はもともとそのことを知っていた、という真相で少し拍子抜けした。しかし、彼女の振り子を動かしているのは彼女自身の良心だ、迷いを振り切り決断する手段として使っているにすぎない、という湯川の言葉によるラストは好印象であった。
★★★(3.5)
・撹乱す(みだす)
湯川に対する挑戦状が届き、予告どおりにどんどんと人が殺されていく、という展開が面白かった。湯川が犯人を挑発することで自らを囮にして犯人逮捕に至ったというエンディングもよい。
★★★★(4)