以前読んで感想を書いているのだが、すっかり内容を忘れていたので再読。その結果こんな簡単な感想ではいかんだろう!と思うほど優れた作品だったので改めて感想を書き記しておく。評価も変更。
コミケ会場で殺人が起きるという設定が珍しく、かつコミケの人だかりで移動に時間がかかるなどその設定ならではのアリバイが成り立っていて面白かった。急病人に付き添うふりをしてスタッフ用階段で素早く移動したという真相もわかりやすくてよい。自分の書いたイラストがアリバイになるというのも斬新。イラストの依頼を連名で受け、1人目が簡単にイラストを描いて2人目に渡し、犯行現場から戻ってきてから凝ったイラストに仕上げることでアリバイを成立させるというのもなかなか。
真犯人はサークル内メンバーではなく、同人誌の元ネタになっている作家、動機はサークルメンバーにネタを提供してもらっていたからという展開には、おぉ!だからあんなにみんなの推理があたっていたのか~と納得させられた。
が、実はさらにどんでん返しがあり、この「コミケ殺人事件」という小説そのものが作中作であり、その作家によって書かれたものであったというのが真相。これには素直に驚かされたし、サークル員と作家との軽快なやりとりがまた心地よい読後感をもたらしてくれた。
★★★★(4.5)