読書記録


ミステリーを中心とした読書記録※ネタバレ多数あり
by mysterylover
カテゴリ
以前の記事
最新のコメント
6月は著者にとって何かし..
by オマケ at 23:59
>つけめんデリックさん ..
by mysterylover at 16:31
まず、警察が浄水器を検査..
by つけめんデリック at 02:47
メモ帳
※個人的な感想・評価(五つ星)です。
※ネタバレにつながる部分が多数あります。

夏と冬の奏鳴曲

b0141535_4504933.jpg

b0141535_4502250.jpg


 正直一読したときはわからないことだらけであり、なにこれ?という感想だった。しかし、解説サイトを読みだいぶ理解することはできた。
 「和音は、シナリオで描かれたような交通事故の体験者を捜し、ようやく見つけました。それが烏有だったのです。つまり、シナリオが烏有の体験を予言したのではなくて、シナリオにたまたま合致した体験者だったから、烏有はこの事件に巻き込まれたというわけです。そして和音は、シナリオにそって、桐璃を烏有に近づけました。これまた、映画が二人の出会いを予言したわけではなく、映画に合わせて出会いが演出されたというわけです。つまり、烏有の存在価値というのは、彼が偶然、シナリオに合った過去を持っていたということに過ぎなかったのです。」という説明にはだいぶ納得したが、それにしても作中人物の心理描写などこうも似通るものだろうか?という疑問も残る。
 「左目を失った“うゆーさん”の桐璃が“退場”させられるとともに、それまで隠れていた“うゆうさん”の桐璃が登場するという、陳腐で残酷な双子トリックによる“復活”の演出こそが編集長(和音)と武藤の計画の要点であり、また烏有には“奇蹟”を目にしてそれを裏付ける――間違いなく同じ“桐璃”である(別人ではない)ことを保証する――視点の役割が与えられていた、ということになるのではないかと思います。」という説明にも納得させられた。その結果“うゆーさん”の桐璃ではなく“うゆうさん”の桐璃が選ばれたというのもなんともやるせない話だ。
 「視点人物の主人公が犯人である」というのは割とよくあるパターンだし驚きは少ないが、上記の二点には驚かされる点も多かった。
 それでも天変地異とも思われる自然現象はなんだったのか、という疑問は残るし、「メルカトル鮎の一言がすべてを解決する。」というのは誇大広告ではないだろうか?
★★★(3.5)
[PR]
# by mysterylover | 2017-12-26 05:11 | 麻耶雄嵩 | Comments(0)

ミステリー・アリーナ

b0141535_3365342.jpg

 「問題篇」の進行と並行しながら、十五通りの「解決」が順次示されていく構成が画期的で面白い。性別誤認トリックや隠された人物が犯人など、なるほどと思わされる解決も多かった。私が思いついたのはたまがネコと見せかけて人間、というだけだったが「ミステリ読みのプロ」はこうもいろいろな伏線を読み取って真相を考えるのかと圧倒される思いだった。「横なぐりの雨に激しく打たれている並木が、まるで身を捩るかのように左右に揺れている」という文章から「並木」という人物がいたという解決法もかなりインパクトがある。最後の解決は平三郎(たいらさぶろう)と平三郎(へいざぶろう)が別人で犯人というバカミスとも呼べるものだが、きちんと伏線ははられており納得せざるをえない。そしてやはりこの小説で面白いと思ったのは、正解者を出さないために、解答者の解答に応じて「問題篇」を次々と分岐させていくというその仕組み。そう考えると正解者さえでなければどの解決もあり得たわけで、この小説の舞台ならではの展開が生きていて素晴らしいと思った。
★★★★(4)
[PR]
# by mysterylover | 2017-12-08 03:51 | 深水黎一郎 | Comments(0)

その可能性はすでに考えた

b0141535_3322282.jpg

 タイトルがまず魅力的。「探偵は、奇蹟がこの世に存在することを証明するため、すべてのトリックが不成立であることを立証する」というなんとも珍しい設定なのだがその仮定のトリックとその反証のすべてがなるほどと唸ってしまう出来。
 こんなの一体どんな頭の人が思いつくんだ…と作者プロフィールを見ると東大出身。はい、きたー。東大の頭脳をミステリーに遺憾なく発揮した結果がこの作品ですよ。その気になれば弁護士とかなれそうなのにあえてミステリー作家を選んでくれたことにもはや感謝の念すら覚える。
 話を戻すが、提示される3つの仮定は最後に全て集約され、探偵の反証を否定する結果に。しかし、探偵はそれすらもはねのける。最終的に事件の真相は明らかにされるのだが、「二つの対立した概念が、互いの矛盾を解消することで、一段階上の概念に統合される。」というのだからまたすごい。
 この作品の魅力はキャラクターにもある。探偵ももちろんそうだが、フーリンとリーシーもすごい。カタコトでしゃべるこの二人をブラックラグーンの「デスダヨ姉ちゃん」と重ね合わせて読んでしまったのは私だけではあるまい。特にフーリンの冷徹なようでいて時折探偵に見せる情は見物である。この小説の本当にラストの文章が、
「…気にするな。それくらいは奢ってやるね」
つい、口が滑った。
で終わっているのもなんとも心憎い。このツンデレがー!と叫びたくなった(笑)
★★★★(4)
[PR]
# by mysterylover | 2017-11-28 04:01 | その他著者 | Comments(0)

名探偵の掟

b0141535_19231243.jpg

・第一章 密室宣言
密室を毛嫌いする探偵と密室だからそれがどうしたという脇役の台詞が軽快。
・第二章 意外な犯人
被害者の別人格が犯人というバカミス。読者が怒ってごみを投げつけてきたというラストが皮肉的。
・第三章 屋敷を孤立させる理由
屋敷の離れが巨大なケーブルカーとなっていて移動するという大胆なトリック。これは普通に面白いと思った。
・第四章 最後の一言
ダイイングメッセージが「イシャヨベ」だったという真相。妙な説得力がある。
・第五章 アリバイ宣言
時刻表を使ったアリバイはつまらない、考える気にならないというのには同意。
・第六章 『花のOL湯けむり温泉殺人事件』論
ミステリーがテレビの視聴率のためにこんな風になってしまうという風刺。
・第七章 切断の理由
SM趣味を隠すために亀甲縛りに沿って死体を切断したという推理も面白かったし、郵便局につとめている犯人が毎日切手を扱っているのでミシン目になっているロープの跡を見たら切らずにはいられなかったという真相もよかった。
・第八章 トリックの正体
女装して一人二役をした男性など見てすぐわかるという皮肉。これは男性のルックスにもよるのではないかと思った。
・第九章 殺すなら今
子守唄に沿って2人の人間が交互に便乗殺人をしていたという真相。最後に村中の人間がそれに便乗して殺人をしまくるという痛快なオチ。まさに「殺すなら今」ということだろう。
・第十章 アンフェアの見本
今までのシリーズものに登場していた警察とは別の人間を警部として登場させ、犯人にすることで見事に読者を騙してくれる。アンフェアだとは思わなかった。
・第十一章 禁句
死体の切断の理由が被害者が太ってしまったため、死体が浮かばなかったから人間の身体で1番思い頭を切ったという真相。
・第十二章 凶器の話
血を凍らせて凶器にしたという真相。(実際は違うのだが。)
・エピローグ 
ついにシリーズものの警部が犯人になってしまう。
・最後の選択
シリーズものの名探偵が犯人になるべきか否かという問いかけで終わり。
 全体的にコミカルで楽しく読めたし、中にはおっと思うようなテクニックも生かされている。ミステリー好きなら必読の一冊だろう。
★★★★(4.5)
[PR]
# by mysterylover | 2017-11-23 19:50 | 東野圭吾 | Comments(0)

宿命

b0141535_4145229.jpg

 一貫して晃彦=冷徹な人間・勇作の宿敵として描かれているので、彼が美佐子を妻にしたのも勇作への当てつけだとか後ろ暗い過去の事件を隠ぺいするためだとかそんな理由なのだと思っていた。しかし、真相はまったく違った。勇作と晃彦は双子であり、ともに過去の事件の被害者なのであった。完璧超人に思えた晃彦は事件のことを気にして美佐子を愛しているのにその表現の仕方がわからなかっただけだったのだ。ラストの人間関係のどんでん返しはハッとさせられるとともに感動的な気持ちにもなった。先に生まれたのが晃彦ではなく勇作のほうだったという作者渾身のラスト一行もいい。
★★★★(4.5)
[PR]
# by mysterylover | 2017-11-12 04:25 | 東野圭吾 | Comments(0)

夜の国のクーパー

b0141535_43196.jpg

 敵国の人間だと思っていた兵士たちが実は味方(以前クーパーを倒すという名目で出兵した人間たち)だったというどんでん返し。敵国の兵士(と思われていた人たち)の顔面に泥のようなものが塗られていたのは正体を隠すためだったのだ。クーパーなどというものは存在せず、戦争で負けた国に危険な仕事をさせに行く人間を自国から差し出すための嘘だったというのも衝撃的。善人に思えた王が実は保身のことしか考えていなかった、主人公が巨人サイズだったなど驚きポイントは他にも。ネコと話ができるという設定が怪しく、そこになにかトリックが隠されているのだろうと思っていたのだがまったくの読み違いだった。ネズミが人質を差し出すから他の仲間を襲うのはやめてほしいとネコにお願いするというのも象徴的。どんでん返しもよかったし話自体も面白かったのですいすい読むことができた。
★★★★(4)
[PR]
# by mysterylover | 2017-10-31 03:30 | 伊坂幸太郎 | Comments(0)

コミケ殺人事件

b0141535_2551649.jpg
b0141535_255343.jpg

以前読んで感想を書いているのだが、すっかり内容を忘れていたので再読。その結果こんな簡単な感想ではいかんだろう!と思うほど優れた作品だったので改めて感想を書き記しておく。評価も変更。
 コミケ会場で殺人が起きるという設定が珍しく、かつコミケの人だかりで移動に時間がかかるなどその設定ならではのアリバイが成り立っていて面白かった。急病人に付き添うふりをしてスタッフ用階段で素早く移動したという真相もわかりやすくてよい。自分の書いたイラストがアリバイになるというのも斬新。イラストの依頼を連名で受け、1人目が簡単にイラストを描いて2人目に渡し、犯行現場から戻ってきてから凝ったイラストに仕上げることでアリバイを成立させるというのもなかなか。
 真犯人はサークル内メンバーではなく、同人誌の元ネタになっている作家、動機はサークルメンバーにネタを提供してもらっていたからという展開には、おぉ!だからあんなにみんなの推理があたっていたのか~と納得させられた。
 が、実はさらにどんでん返しがあり、この「コミケ殺人事件」という小説そのものが作中作であり、その作家によって書かれたものであったというのが真相。これには素直に驚かされたし、サークル員と作家との軽快なやりとりがまた心地よい読後感をもたらしてくれた。
★★★★(4.5)
[PR]
# by mysterylover | 2017-10-06 03:09 | その他著者 | Comments(0)

心臓と左手

b0141535_13291250.jpg

 教祖の心臓を食べることでその力が後継者に受け継がれる、というのを隠れ蓑にして犯人は銀行の指紋認証のために教祖の左手を切断したのだが、その真相は割とあっさりわかってしまった。
★★★(3)
[PR]
# by mysterylover | 2017-09-26 13:32 | Comments(0)

ドローン探偵と世界の終りの館

b0141535_13172662.jpg

 ドローン=陸上で使うもの、という固定観念を利用した叙述トリックで、実は舞台は水中だったというものなのだが、正直そういった知識がないとわからない系のトリックは叙述トリックとしての驚きを大いに損ねてしまうと思う。登場人物の心中が細かく描写されているのは面白かったし、お嬢様と従者の悲恋もよかった。
★★★(3.5)
[PR]
# by mysterylover | 2017-09-26 13:27 | 早坂吝 | Comments(0)


検索
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧